革のブランドを作る影の支配者 知られざるタンナーの存在

tanner 革の種類

我々の生活と密接に関わる革製品。普段気に留める事はなかなかありませんが、周りを見渡せば数多くの革製品が溢れている事に気が付くかもしれません。

では、革製品はどのようにして我々の所まで届いているのでしょうか?

大まかにその流れを辿ってみると以下の流通で示すことができます。

  1. 牧場(食用の牛から「原皮」が誕生します)→
  2. タンナー(動物の皮を腐る事のない革へと変化させます)→
  3. 革問屋(タンナーと契約をして革を日本国内で流通させます)→
  4. 革工房(職人の手により革製品が誕生します)→
  5. お店(百貨店やネットショップによりお客様の手元へお届けします

た、タンナー?

牧場、問屋、工房、お店はなんとなくわかるけど、タンナーって何?

わからない言葉はwikiでしょう。

沖縄の言葉でソテツを意味する[1]。

加工してタンナー・ジューシー(炊き込みご飯)やタンナー・ハムン(ご飯、餅)などに使われる[2]。

うむ、うむ、、って絶対違う!これじゃない!

という事で、このページでは革業界における「タンナーとは?」について紹介をしたいと思います。

タンナー(tanner)とは?

タンナーは革製品の方向性を決めるとても重要な職業で、革業界の縁の下の力持ち的存在といえます。

また、その商品がどのタンナーの革を取り扱うかでその商品の特性が大きく左右される重要な要素です。

動物たちの皮は生き物の為、時間の経過により腐り、固くなります。

「鞣す(なめす)」とは “革” を “柔らかく” する と書くように、動物の「皮」を腐らないようにしたり、柔軟性を保つための処理をして「革」にすることを指します。
日本では塩、水、菜種油などを使用するなめしから始まり、現代でも飽くなき探求心と向上心でなめしの施行錯誤が行われています。

鞣す以外にもタンナーの仕事は多岐にわたり、原皮を荒い・脱毛し・ほぐし、染色・乾燥・厚みを均一にするシェービング・表面の毛羽立て、銀面(革の表側)の研磨(バッフィング)、ガラス玉を用いて光沢を出すグレージング加工などの工程が施されます。

革製品はどうしてもブランドやショップの顔ばかりが目立ちますが、実際にその革製品の特長を決めているのはタンナーがどのように皮を革に仕立て上げていくかの工程(考え方、道具、方法、技術、こだわり)に大きく左右される為、革業界の縁の下の力持ちどころか、革そのものの姿を決定付ける “影の支配者 “と言っても過言ではありません。

鞣しの違い

鞣し方タンニン鞣し
(人と自然にやさしく。手間暇かかっています。変化を楽しむ鞣し手法)
クロム鞣し
(科学忍法で大量生産。変化を抑える鞣し手法)
詳細タンニンとは植物にある渋み成分であり、動物の皮の繊維を収縮させる効果があります。(広義では赤ワインに含まれるポリフェノールもタンニンです。)
タンニン鞣しとは植物を使った鞣し方という事になり、日本ではミモザの木が鞣し剤として使用されていて人体と環境に優しい製法といえます。

いくつもの桶に濃度や成分の異なるタンニンなめし剤を入れておき順に革を漬け込む製法を「ピットなめし」といいます。
じっくりとタンニンを革の芯まで浸透させるため革が丈夫になり、また革への負担が少ない為、繊維密度の高い美しい仕上がりとなります。
手間が掛かるばかりか時間も1ヶ月以上も漬け込む必要があり、また桶をたくさん必要になるためのスペースもかさみ、一般的にはタンニン鞣しの革は高価なものになってしまいます。

近年では、ドラムにタンニン鞣し剤を投入してぐるぐる回してタンニンを叩き込む「ドラム鞣し」が開発され、より早く低コストに鞣すことが可能なこの手法が一般的になりつつありますが、ヨーロッパのタンナー(特にイタリアトスカーナ地方)は現在も伝統的なピット鞣しを採用しており、有名な工房がヨーロッパの革を使用する理由のひとつとなっています。

また、栃木レザー株式会社は日本国内で唯一、伝統的なピット製法で植物タンニン鞣しを専門に行っている皮革メーカーです。
タンニン鞣しのデメリットとして安価な製品が作れないばかりか、革の表面に厚化粧をせず浸透させる手法の為、水に弱く汚れやすく、また水を吸収しやすいため変形しやすいなどの取り扱いの難しさや、
革がもつ傷やシワ、血筋などが目立ちやすい(隠さない)などの特長があります。
つまり、植物タンニン鞣しは、革本来の姿をなるべく壊さないようにあえて手間と時間を掛けて丁寧に仕上げていく手法であり、製品となった後も革の香りや色の変化(エイジング)、傷を含む製品の味を楽しむ為の手法ともいえます。

植物タンニンなめしでなめされ、染色や表面加工などその他の加工を行わない革は「ヌメ革」と呼ばれ腐らないように皮を鞣しただけのほぼすっぴん状態となります。
クロム鞣しとは塩基性硫酸クロムと呼ばれる化学薬品の事であり、およそ100年ほど前にドイツで開発された鞣し方法です。

1ヶ月もかかるピット鞣し(タンニン鞣し)と異なり、1日程度で薬品を浸透させる事が可能で、時間と手間を極端に抑え現在流通しているほとんどの革製品がクロム鞣しを行っています。
柔らかく丈夫で変化が起こりにくいこの素材は多くのカバンなどのブランド品や、車、ソファなどにも使用されています。

クロム鞣しのメリットは、タンニン鞣しと比べて変色・変化が控えめでメンテナンスを頻繁に行う必要がないことです。
クロム化合物と反応させる事で柔らかく伸び縮みしやすい特性を作り、ひっぱりや傷への耐久性が増すばかりか、薄くて軽く、革も柔らかいことも魅力のひとつです。
クロム剤の影響でなめされた後の革は白っぽい色となり、その結果、着色が容易となるため鮮やかな色の表現が可能になります。
(クロム鞣しは重金属系なめしのため、アレルギー体質の方には不向きです。)

一方、タンニンを含まないクロム鞣しはエイジングによる革の色味の変化がありません。
また、クロム鞣しの多くの商品は顔料による着色や型押しなどの表面加工をしている為、革本来の独特な匂いがありません。
簡単にいえば厚化粧を施している状態の革という事になり製品の個体差を抑え大量生産する事に向いています。
革質ハリ、コシがあり丈夫で重厚感がある軽い、しなやかで伸縮性がある
革への着色
漬けて染める手法の為、地革の色に左右され個体差がある

顔料(ペンキ)のような鮮やかな着色が容易で変化しない
カジュアル度×
傷や跡が付きやすい(元々付いている)
水に極端い弱い(シミが目立つ)

傷や変形に強い
ヒトのメイクに例えるなら?すっぴん、或いはナチュラルメイク厚化粧
経年変化(エイジング)
深みが増していく
×
ほとんど変化がない
タイプ大器晩成型
手にした時は革本来の傷や色ムラなどがあるが(隠されていないが)、使っていくうちに馴染み、味(深み)が出てくる
早熟型
手元に届いた時が一番の状態で、その後使用感が出てくる
価格高価安価(カーフレザーを除く)
被り一点物で他と被ることはない国内外問わず同じものを購入することが可能
人体への影響
天然植物成分

金属(化学)成分
生産効率×
1ヶ月以上かけて革になる

1日で完了
手間暇ひとの手により製作機械で大量生産可能
著名なブランド栃木レザーヴォーエプソン(エルメス/HERMES)
取扱い店舗コッシュ公式WEBサイト – Casual Ordermadeブランドショップなど

コッシュ公式WEBサイト – Casual Ordermade

世界的にも有名な tanner(一部紹介)

タンナー主なブランドレザーSNS/HP
日本栃木レザー株式会社栃木レザーInstagram_logo660
日本有限会社新喜皮革コードバンInstagram_logo660
イギリスセドウィック社 (J&E SEDGWICK)ブライドルレザーInstagram_logo660
イギリストーマスウェア社 (Thomas Ware and Sons)ブライドルレザーInstagram_logo660
イタリアワルピエ社 (Conceria Walpier)ブッテーロレザーInstagram_logo660
イタリアイル・ポンテ (CONCERIA IL PONTE)マヤレザーInstagram_logo660
ベルギーマズール社 (Tannerie Masure)ルガトーレザーsaturne-logo
ドイツワインハイマー社 (TWeinheimer Leder)ワープロラックスweinheimer

カジュアルなオーダーメイドショップ

コッシュ公式WEBサイト - Casual Ordermade / 革と木 | カジュアルなオーダースマホケースと時計の専門店

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