革製品ってどうして違うの? 5つの部位が決める “牛革”の種類 ー③部位の種類編ー

about-leather-par 革の種類

既にブログで紹介しましたが、あらゆる革製品の中でもっとも多く流通している革といえば「牛革」。

さらにそのなかでも牛の年齢によって革の特徴は大きく異なり、その特徴の違いから出来上がる商品にも大きな違いがあることを紹介致しました。

そこで、このページではさらに革の種類を深堀りして、「牛のどの部分を使用するのか?」

所謂、部位による違いについて紹介していこうと思います。

牛のどの部分を使用するかによって特徴や強度はそれぞれ異なり適正があるからです。

牛革

部位

たとえ、成牛であっても牛個体の大きさや重さ、コンディションは千差万別です。

しかし、革製品にするには一定の ”均一さ” は必要不可欠。

特に革の ”厚み” は、どの革製品として使用するかに大きく左右され、革の厚みを均一にする作業を「革を漉く(すく)」といいます。

革には本来、原皮に応じた厚みがあり、そのままの厚みの革を「元厚(ゲンアツ)の革」と呼び、革によって厚みは様々です。

当然、動物の成長度合いによって厚さが異なるため、カーフだと厚みは薄く、ステアであれば分厚くなります。

また、体のどの部分か、つまりどの部位の革かによっても厚みが変わります。

革を漉くには、機械を使う場合と手作業で行う場合がありますが、いずれにせよ、銀面(ぎんめん)と言われる革の表側を均一に保つため、床面(とこめん)と言われる革の裏側を削っていく作業を行います。

自分で行う事も出来ますが専門の道具や機械が必要になりますので、革を購入するタイミングで仕入れ先に依頼し、漉いた状態の革を仕入れる方法が一般的ではないでしょうか。(カットや漉きに別途費用が掛かりますが手間を考えると十分納得できる見積もりである場合が多いです)

つまり、丸革(裁断しない牛一頭、1枚そのままの大きさの革)や、半裁(一頭分の革を背中から左右に切り分けたハーフサイズの革)など、大きい量の革を仕入れる際には、ある程度何をどれくらい作るのかを決定した上で購入する必要があり、「首から三分の二を1.0mmに、尻から三分の一を1.5mmに」等できる限り詳細に漉き依頼をし、効率よく(歩留まりよく)革を使用するスキルも求められます。

革というのは布地と違って直線には採れません。当然ですが動物の形をしています。
足や頭はほぼ使えない部位として取り除かれたりもしますし、その上で傷やムラが無いところを選んで裁断します。商品パーツの形によってはパズルのようにしかりと隙間なく採る事ができない場合がほとんどです。

一般的な歩留まりが何パーセントかわかりませんが、仮に歩留まりを70%とすると、半裁で購入した革200デシ(仮)の60デシは使えない(破棄する)部分となります。

大胆に例えれば、「会議机2個分の革を仕入れたとしても手のひら60個分は捨てなければならない」といったイメージですね。革製品が高価である理由が歩留まりを考えただけでもわかってくるような気がします。

前置きがかなり長くなってしまいましたが、さっそく5つの部位を紹介しその特徴と違いを見ていきます。

革製品の特長
革の部位特徴
ショルダー(肩)頭に近い首から肩にかけての部位。もともと頻繁に稼働していた部分という事もあり表面にシワやトラも多く、柔軟性と強度兼ね備えている。
裏側部分や内装部分、スマホケースであれば内ポケット部分などによく用いられる部分である。
ベンズ(背中~腰)面積が大きい為ある程度の長さが必要なベルトや鞄の手持ち部分に使われる部位。
また傷やシワが少なく、部位自体の繊維の密度も高く厚みもあり丈夫な素材な為製品としても伸びにくくゆがみも少なく重いものを入れる可能性のある鞄の、特に底やサイド部分にも最適。
バッド(尻)しわが少なくコシのある部分。強度もあり牛革を含めて他の素材でも良質な革素材の部位として扱われる。
特に馬革におけるこの部位は「コードバン」として呼ばれて高級レザー素材として取引がされている。
ベリー(腹・腰)繊維束の交差の度合いが低く加工しやすいものの、比較的柔らかく厚みも薄い部分であり耐久面から製品のパーツに使われる事が多い。
レッグ(脚)前脚、後ろ脚で繊維質の違いがあり、後ろ脚の方が繊維密度が高く丈夫。耐久性はあるが面積が少ない為小物向き。

次の章では「④国・産地・文化の違い」について紹介していきたいと思います。

—前回紹介したページ–

「②年齢の種類」

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