「本革」と同じくらい耳にする「合皮」という言葉。
ここでは革製品に触れる入門的事項として、本革と合皮の見分け方について記載していきます。
結論として、本革と合皮の違いつまり見分け方として、下記の4つの違いにて見分けることができます。
匂い | 毛穴 | 呼吸 | 断面 |
しかしながら、上記4つの違いにて見分ける事ができるものの、なぜ見分けることができるのか、そもそも本革とはどういった特徴を持つ皮なのか、一方、合皮はとはどういう特徴を持った皮なのかを詳しく説明をしていくことで革に関する理解を深め、見分け方のスキル上達に向かっていきたいと思います。
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そこで、まずは本革から
- 本革
本革とは動物の皮膚をそのまま、または鞣して(なめして)「皮」から「革」へ変化させたものを指します。
補足すると、人工的に作られた合成皮革と区別する為、天然皮革と呼ばれる場合もあります。
あまりにも当たり前すぎて忘れがちな事として、そもそも本革は「動物の皮膚」を剥いだもであるという事。
つまり、生きた動物の皮であることを忘れてはいけません。
それ故に動物が生きていた時に付いたと思われる、”ナチュラルスタンプ”と呼ばれる「バラキズ(引っ搔いたような小さな傷)」「トラ(生きている間にできた皮膚のシワ)」「色の濃度の違い」が天然皮革の証として現れています。
ヒトも勿論例外ではないのですが、生きている以上まったく無傷の状態で皮膚を維持することはほぼ不可能です。したがって、その生きた証が本革には必ず残っています。
また、本革には動物の種類だけでなく、同じ動物(例えば牛革)であっても、なめし方や表面加工によってその特徴や表現が大きく異なり、多くのブランドレザーが存在しています。
このページの補足として下記に革のブランドについて参考となるブログを掲載します。本革に関する理解がより深まると思うので合わせて読んで頂く事を強くおすすめ致します。
革ブランドの特徴(存在する多くのブランドレザー)
革の種類(8つの代表的な動物)
革の種類(牛革の年齢による違い)
革の種類(牛革の体の部位による違い)
革の種類(国や産地、文化による違い)
革のブランドを作る影の支配者 タンナーの存在
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- 合成皮革
そして次に合成皮革についてです。
合成皮革とは人工的に作られた革。
すなわち、フェイクレザーとも呼ばれ、ニットや織物等の基布にポリアミド・ポリウレタンなどの合成樹脂を塗り重ねて天然皮革によく似た風合いを再現したものの事を言います。
つまり、中身は布地(紙)です。
合成樹脂を塗り重ねた表面は、ビニールやプラスチック素材と似ており、水をはじくため汚れにくいのが最大の特徴です。
さらには、この塗布剤に型押しをすることで革の質感を人工的に再現し本革と見分けがつかない程の秀逸な素材感を作り出しています。
そして、合成皮革は自然物とは異なり人工物であるため、本革のように品質に差が出ることはありません。つまり、手入れが簡単で、安価かつ品質も均一である事などから幅広い商品に利用され最も普及しているレザー素材ともいえます。
しかしながら疑似皮革ゆえ、見た目は革の素材感を愉しめるものの、匂いや肌触り、馴染み感は再現できません。
ここが再現できないがゆえに、本革か?合皮か?レザー商品を選ぶ際に最も好みの差が分かれ、選択を決定付ける要因となります。
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- 変化
本革は動物の皮膚ゆえに経年変化があります。
時を経るごとにユーザーである人の手の脂を吸って艶が生まれ、革は柔らかく馴染んでいきます。
手入れ次第とはいえ、本革製品の寿命は約10年(状況によっては20年)程度と言われています。
一方、合成皮革は空気中の水分と結合して徐々に劣化していってしまします。(加水分解)
合皮製品の寿命は製造から約3年程度と言われ、表面のひび割れ、剥がれなどの経時劣化は避けられません。
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- 本革と合皮の見分け方
さて、いよいよ本題の本革と合皮の見分け方になります。
最近の合皮はかなり精巧で4つめの断面を見ない限り見分けは難しいと言われています。
しかしながら、勿論見分けることは可能です。
その一つの見分け方としては、「匂い」があげられます。
つまり、本革であればある程度時間が経っていても革の匂いがします。
この「革の匂い」は革好きにはたまらなく、必要不可欠なレザー商品の要素のひとつであり、レザーマニアの心を魅了して離さない本革が持つ唯一無二の特徴のひとつです。
2つめに紹介する見分け方として「毛穴」があります。
ともと動物の皮膚なので本革は革を伸ばしてじっくり見ると毛穴が見えます。また、染色前の本来の色が見える場合もあります。
一方、合皮は型押しをして革の表面に似せているだけなので、毛穴がない、或いは浅い凹みなっているにすぎず皆がよく知るいわゆる「毛穴」を見つけることは困難です。
3つめに紹介する見分け方として「呼吸」があります。
本革は生き物ですので呼吸をします。
つまり、本革であれば革が呼吸することによって少し間手のひらを乗せると適度に吸湿します。
一方 、合皮は吸水性が全くない為、手のひらを乗せているとじっとりとしてきます。
4つめに紹介する見分け方として「断面」があります。
本革であれば「コバ処理されている」或いは、少し毛羽立っていたり断面が繊維質であったりします。
一方 、合皮は塗料コーディングされて見えなくなっていたり、基布が見えてしまっています。
また補足として、1番わかりやすい見分け方が傷んだ時の現れ方で、擦れて中の布地が見えてきたら言うまでもなく合皮決定です。なぜなら合皮の中身は布地、本革の中身は革だからです。
また合皮は表面に樹脂を塗っているだけなので、経年によるひび割れや表面の剥がれが出てくるため、ボロボロになり革の表面がめくれて来たりしたら合皮決定です。
革の断面については革好きであればあるほどこだわりの強い部分で、また職人の腕の見せ所でもあります。本革と合皮の見分け方を語る上でも断面はとても重要ですが、それだけでなく出来上がった革製品の品質を左右するという意味においても革の断面は重要な要素のひとつでもあります。
職人の拘り -コバ処理-
以上で本革と合皮の見分け方についての説明を終わりにしたいと思います。
筆者個人としは、本革と合皮ともに良し悪しがあり、好みの問題であると考えています。
つまり、
「本革製品は」手に取った瞬間は、傷があったり、硬くて使いづらかったり、水に弱く生活していく中でシミになったり水ぶくれができたり非常に変化に富みデリケートだったりする為、70点からのスタートだったりするものの、エイジングで味が出てきて、独特な香りがいつまでも続き、痛むことなく長年愛用が可能で、年を経るごとに加点され、いずれ100点満点になる特性を持ち、
一方、「合皮製品は」手に取った瞬間が100点満点であり、年を経るごとに痛みが発生し減点され買い替えの必要がでてくる製品の特長を持っている違いによる好みの問題です。
2万円の予算があるとして、2万円の本革製品を10年以上使うのも良し、5,000円の合皮製品を3年ごとに新品に買い替えるのも良し。
あなたのレザーライフにあった素材と商品をぜひお選びになり、素敵な「革のある生活」をお楽しみください。
最後に本革と合皮、それぞれの特徴を簡潔に表にまとめてみました。
本革 | 合皮 | |
素材 | 動物の皮を加工したもの | 布地に合成樹脂で塗装したもの |
耐水性 | 弱い。吸湿性、通気性がある。 (染みる) | 耐水性がある。 (プラスチックやビニールと同じ素材) |
耐久性 | 丈夫。色合いや質感に深みが出る。 | 低い。表面のひび割れ、剥がれなど劣化する。 |
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