革製品ってどうして違うの? 8つの地域が決める “牛革”の種類 ー④産地の違い編ー

about-leather-country 革の種類

古来より人の暮らしと密着している牛・馬・羊・豚。それゆえに革製品はその国と文化に密着にかかわっています。

その土地から生まれる技術や、必要とされる革製品はその土地の文化に大きく根付いており、世界各地で革製品の違いが生まれています。

ここでは、8つの地域を紹介し革製品の違いを見ていきます。

特徴
アメリカ<牛革そのもの、原皮の生産地>
革は食用として用いられた後の副産物(二次産業品)。牛肉を大量に消費するアメリカはその消費に合わせて必然的に革産業が発達してきました。
先住民(インディアン)の革文化は美しい工芸品として残っている場合も多く、インディアンデザインやネイティブデザインなど多くの革製品が存在しています。
キューバ<ワニなどの爬虫類が有名>
多くの美しい鰐が多数生息。「キューバワニ」が有名。ワニ以外でもアナコンダやニシキヘビなどのスネーク類の産地でもあります。
インドネシア<多彩な爬虫類の宝庫。エキゾチックレザー>
ワニ、スネーク類、トカゲなどの多種多様な爬虫類が生息しているインドネシア。
特に「ダイヤモンドバイソン」と呼ばれる美しいニシキヘビや背中に “輪”状および点状の波紋が並んでいる事から「リングマークトカゲ」と呼ばれいているトカゲ革の最高級品が存在しています。
近年では野生よりも綺麗な状態で出荷できる養殖も盛んに行われています。
ドイツ<薬品化学工業が発達>
牛肉や豚肉を消費する食文化で必然的に革産業も発達。
革の加工技術に関する研究が熱心で特に化学薬品を使った革の加工が多く使われています。
100年程前にドイツで開発された塩基性硫酸クロムと呼ばれる化学薬品で鞣した(なめした)「クロム鞣し」は、時間と手間が掛からないため現在流通しているほとんどの革製品がクロムなめしを使っていると言っても過言ではありません。
柔らかく丈夫で変化が起こりにくいこの素材は多くのブランド品や車、ソファーなどにも使用されています。
発色性に優れ、革を “シュリンク=収縮” させ、シボ(シワ模様)をあしらったペリンガー社の「シュランケンカーフ」は、型押しをせず薬品のみで丁寧に時間を掛けて革を収縮(シュリンク)させる事で特に有名。
一方、シュリンクではなく型押しでシボを表現した同社の「ノブレッサカーフ」はエルメスなどにも提供されています。
イタリア<革の彩色・染色と装飾技術が有名>
柔らかく、多彩かつ精細な発色で知られるイタリアンレザー。
ドイツとは異なり、植物性の材料を使用した「タンニン鞣し」が行われ染色の技術も同時に発達。
有名・無名の数多くのタンナーが国内にひしめく中、発色が良く経年変化も楽しめる高級皮革「ブッテーロ」を排出するタンナー、ワルピエ社が特に有名。
フランス<完璧な技法で世界の女王に君臨>
世界的に有名なレザーブランドの本拠地といえばフランス。
自然豊かで綺麗な空気や水に恵まれた環境は、数多くの上質な皮革をこの国から生産される由縁であります。
エレガントなレザーが好まれるお国柄でそのニーズに応える有名タンナーが多いことが特徴的。
特に、最高品質であるカーフレザー(詳しくは「②年齢の違い」を参照)を使用し、エルメスで有名なボックスカーフを提供する 「デュプイ社」「アノネイ社」が有名。(共に2015年、2013年にエルメス社により買収)
イギリス<伝統的な技法を守る文化の国>
牛鞍を始めとする馬具、そして知識を伝える書庫に革が用いられてきました。
堅牢でしなやか、丈夫で長持ちする革を生産することでも有名で、現代も伝統的な技術で革が生産されており、紳士の革「ブライドルレザー」の発祥の地として有名。
水や汗に弱いレザーが多いなかで、ブライドルレザーは比較的水や汗に強い性質を持っています。
レザーにロウをしっかりと染み込ませ、レザーの繊維を引き締め密度を高めている為、水を弾き、また水や汗を吸い込みにくい特徴があります。
雨が多い(湿気が多い)イギリスならではの知恵。
(馬の手綱として使われていた革の為、馬のヨダレや突然の雨に強いハードな革という背景が実際にあるようです)
日本播州姫路地方で古くから革のなめしが盛んに行われていました。
なめしの工程は
『瀬戸内海産の塩による原皮処理
→浅瀬で洗い流し → 石河原での川漬 → 脱毛 → 塩入れ → 加湿 → 菜種の油付け → 揉み → さらし → 革洗いの反復作業』
といわています。
海が近い姫路はまさに革の加工にピッタリの土地であり、現在でも全国の30%にあたる80社以上のタンナーが集中しています。

コードバンを一貫生産している世界的にも希少なタンナーである「新喜皮革」や牛革だけでなく、ゴトー(山羊)やシープ(羊)、バッファローなど多数の革を取り扱う「三昌」などが有名。

一方、瀬戸内以外で最も有名なタンナーは植物由来のタンニンなめしによるヌメ革を提供する「栃木レザー株式会社(栃木県)」のブランドレザー「栃木レザー」。
栃木レザー社の製品に付属する “赤タグ” はもはやブランドとなっており、日本において、SNSやInstagram(インスタグラム)に投稿される革製品の多くが赤タグ付きで写真がアップされているほど。
(赤タグは別売りの為、すべての栃木レザー社製の商品に付属しているわけではありません。)

次の章では「⑤タンナーの存在」について紹介していきたいと思います。

—前回紹介したページ–

「③部位の種類」

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