革製品ってどうして違うの? 6つの工程が決める “革”の種類 ー①動物の種類編ー

about-leather-anima 革の種類

百貨店や革工房など、私たちの身の回りには数多くの本革商品が並んでいます。

一言で ”本革製品” といってもその見た目や質感、使い勝手、表情は様々です。

では、どのようにして “革製品” はその特徴が決められているのでしょうか?

私たちは大きく6つの要素・行程の違いにより、私たちが手に取る革製品の特長が決められているのではないかと考えています。

動物の種類どの動物の皮を原皮として作られた革製品なのか?
動物の違いはその革製品の特長を最も特徴付ける要素のひとつです。
年齢の違い同じ動物でもその個体の年齢によって皮の表情は異なります。
部位の種類同じ動物でも使用する体の部分(部位)によって表情は異なります。
国の違い国や地域により文化が異なり革の使用用途が異なります。
タンナーの違い“皮” を “革” に仕立てていくのがタンナーの仕事。
同じ原皮であってもタンナーの違いにより出来上がる革の表情が異なります。
職人の拘り同じ素材であっても、革職人のデザインや製法、技術の違いにより出来上がる革製品も異なります。

それではここではまず、「①動物の種類」についてもう少し詳しく見ていきます。

革の種類動物特徴強度柔らかさ重さ
牛革古くから最も革製品に使用されている革素材の代表格。仕上がりが美しく丈夫であり流通量も多い。月齢や性別などによって名称・性質の違いがある。■■■■■
強い
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やや硬い
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重い
スエード豚・羊・山羊(裏面)主に豚や羊、山羊などの小動物の革の裏側(床面)をサンドペーパーでベルベット状に起毛した皮革(起毛革)。起毛革は傷などで表側が使用できない革も再利用が可能であり優れた素材ともいえる。生地が薄く柔らいのが特徴。削れば削るほどキレイで安定した起毛になるため毛足は長めで起毛感が残る。
名前の由来はフランス語のスウェーデンで日本では起毛皮革の総称をスエードという場合もある。
同様に裏側を起毛させる革として “ベロア” があり、ベロアは成牛の裏を起毛させるためより毛足が長く厚い特徴がある。
繊維が緊密で高級感があるスエードに対して、成牛などの繊維の粗い大型動物の革を使用しているベロアは、起毛が粗く毛足もさらに長い。
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強い
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普通
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やや重い
ヌバック牛(表面)スエードと似た起毛革のひとつにヌバックがある。ヌバックは主に牛革の表側(銀面)をサンドペーパーで起毛した皮革であり、ヌバックの方がやや高価になりやすいのは原皮である牛が豚よりも高価であることが考えられる。
裏面を起毛させるスエードが毛足が長く革が薄いのに対して、ヌバックは毛足が短く革も厚いため艶がありマットでさらっとした(起毛感の少ない)手触りとなり、丈夫なためアウトドア商品としても使用されている。
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強い
■■■□□
普通
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やや重い
ピッグ飼育から皮革製品までのすべてを日本国内で一貫して生産できる唯一の皮革で海外にも輸出されている。革の表面に三つずつ並んだ毛穴は全層を貫通し優れた通気性をもたらすため、軽量かつ摩擦に強いとされている。■■■■□
やや強い
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普通
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軽い
コードバン農耕用馬の臀部を鞣(なめ)して染色した皮革。(つまり、馬のお尻の皮)
背後の外敵から致命傷を避ける為、臀部の皮の下には固く丈夫なコラーゲン層があり、このコラーゲン層の別名がコードバン(層)。つまり、牛革などでイメージするいわゆる表皮ではない。
繊維がきめ細やかで牛革の2倍~3倍の強度を持つ事から “革のダイヤモンド” とも呼ばれている。牛と比べ馬の頭数は世界的にも極端に少なく、また臀部のみの革ということもあり、馬1頭から採取できる量はごく僅か。
また、厚さ僅か2mmのコードバン層を皮から傷付けずに綺麗に削り出すには熟練の技が必要とされ、様々なレア要素が重なりコードバンを手に入れる為には1年先の予約を必要とするほど希少性の高い素材となっている。
★★★★★
極めて強い
★★★★★
極めて硬い
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やや重い
ハラコ生後6ヶ月未満の不慮により命を落とした子牛や、食用肉の子牛の革を毛皮として再利用。「お腹の子=ハラコ」が名前の由来とされているが現在は上記の通り生まれた後の再利用としての使用であり、厳密にはハラコではないため専門的にはヘアカーフと呼ばれるものが主流。
毛並みは短めだが柔らかく繊細な毛並みが特徴。成牛と異なり少量しか流通できない為、高級毛皮(体毛がついたままの獣皮)のひとつとして高い人気と品質を誇る。
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やや強い
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やや柔らかい
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普通
パイソン全身に美しい斑紋のあるパイソン(ニシキヘビ)が主に利用される。中でも菱形の模様をもったダイヤモンドバイソンが人気が高い。柔らかく耐久性はそれほどあるわけではないが金運上昇の皮とも言われている。■■■□□
普通
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やや柔らかい
■□□□□
軽い
オーストリッチダチョウ羽を抜いたあとが丸く突起しており、これが独特の美しい模様となって珍重されている。
とても丈夫でソフト感がありながら使い込むほどに光沢感が出てくる。
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強い
■■■□□
普通
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やや軽い
ステングレイエイ(ガルーシャ)ビーズを一面に散りばめたようなキラキラとした革で、背中部分に白い輝きを持った白い斑点部分(エイが光を感知する器官)が特徴的。これは “スティングレイハート” や “スターマーク” と呼ばれ、一匹からひとつしか存在しないことからもスターマークが入った革製品は貴重で人気があり、製品の中心におかれている場合が多い。
「革の宝石」と称されるほど非常に革が強く、牛側の6倍と言われ日本でもその特徴を活かして太刀、刀、脇差などの柄の部分に多く利用されてきた。「海の宝石」や「ラッキーフィッシュ」とも呼ばれて演技がいいとも言われている。
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極めて強い
■■■★★
極めて硬い
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やや軽い

いかがでしたでしょうか?

上記で取り上げた動物はほんの一部ではりますが、知っている革、贔屓にしている革がありましたか?

動物は種別により見た目が大きく異なりますので当然革の特徴も大きく異なります。

強さ、柔らかさ、重さ、デザイン、加工のしやすさ、手に入れやすさ等など、それらの大きな違いにより、必然的に出来上がる製品にも大きな特長の差が見られる結果となります。

次の章では「②年齢の違い」について紹介していきたいと思います。

—前回紹介したページ–

本革とは?|本革と合皮の違い・見分け方

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